企業が外国人を雇用するときには、その人が持っている在留資格をチェックしなければいけません。在留資格ごとに認められている仕事の範囲が違うため、きちんと確認しないと不法就労になってしまう恐れがあるからです。
「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」などの在留資格には就労制限がないため、これらを持っている外国人は原則としてどんな仕事でもすることができます。
しかし、これらの在留資格は一定の要件のもとに認められているものであるため、例えば「日本人の配偶者等」を持っている外国人が離婚してしまったときには、要件を満たさなくなってしまうため、在留資格の変更が必要になります。
永住者は安心して雇用できる
その点、「永住者」の外国人は在留資格を失ってしまう心配がほとんどありません。就労制限がないのでどんな仕事でもできるし、ビザの更新をせずにずっと日本に在留することができます。企業側としては、永住者の外国人であれば、在留資格のことを心配せずに安心して雇用することができます。
帰化した人は「日本人」として扱う
一方、帰化した元外国人を雇うときには、どういうふうに考えればいいでしょうか。永住者と帰化した人は似ていると思う人がいるかもしれませんが、法律上の扱いは全く違います。
なぜなら、帰化した元外国人は日本国籍を持っているので、外国人として扱う必要がないからです。帰化した人は日本人なので、ほかの日本人社員と同じように雇用管理をすればいいということになります。
日本では二重国籍は認められていない
ただし、その人がパスポートを同時に2冊持っている場合は注意が必要です。日本の法律では二重国籍は認められていないのですが、相手国が二重国籍を認めていることがあります。そういう場合に、帰化した元外国人の方が、日本のパスポートと母国のパスポートの両方を持っていることがあるのです。
中には、日本と外国を行き来するときに、それらの2冊のパスポートを使い分けている人がいます。この行為は日本では違法になります。日本では二重国籍は認められていないので、日本から出入国をする際には、日本のパスポートだけを使う必要があります。
帰化した人が海外出張などをする際には、この点にだけ注意してください。