経営管理ビザとは、在留資格「経営・管理」のことです。日本で会社を経営したり、経営幹部などの管理者になるためのビザです。
このビザのことを「投資ビザ」「投資経営ビザ」などと呼ぶ人もいますが、それは2015年4月1日以前までこの在留資格が「投資・経営」という名前だったからです。
経営管理ビザを取るためには、以下のような要件があります。
1.独立した事業所を確保している
2.常勤の従業員2名以上を雇用する
3.事業に安定性と継続性がある
4.事業の管理者として働く場合、事業の経営・管理についての3年以上の経験がある
それぞれの要件について詳しく説明します。
1.独立した事業所を確保している
会社が独立した事務所を備えている必要があります。賃貸物件の場合には「法人名義」で賃貸借契約を交わし、使用目的が「事業用」でなければいけません。賃貸借契約書のコピーを提出してそれらを立証することになります。
建物の表札や郵便受けなどにも社名や屋号がはっきり記載されている必要があります。独立したスペースがあるレンタルオフィスなら問題ありませんが、シェアオフィスは許可されません。
自宅として借りた物件を事業用として使うことはできません。ただし、戸建て物件などで事務所スペースと居住スペースが明確に分かれていると認められる場合には、許可されることもあります。
2.常勤の従業員2名以上を雇用する
経営管理ビザを得るためには、2名以上の常勤の従業員を雇用すること、または500万円以上の出資が必要です。
この場合の常勤の従業員として認められるのは、日本人または永住者などの就労制限のない身分系の在留資格を持っている外国人のみです。就労ビザで働いている外国人は含まれません。
また、パート、アルバイト、派遣社員などはここで言う常勤の従業員には含まれません。
常勤の従業員2人以上を雇用しない場合には、申請する外国人本人が500万円以上を出資することが求められます。法令で定められているわけではありませんが、実務上は500万円以上の出資がなければ経営管理ビザが認められないことがほとんどです。
3.事業に安定性と継続性がある
事業計画書を作成してこれから行う予定の事業の安定性と継続性を示すことが必要です。
4.事業の管理者として働く場合、事業の経営・管理についての3年以上の経験がある
経営者ではなく、出資をしていない雇われ社長や、役員・部長・支店長などの管理職として働く場合には、事業の経営または管理について3年以上の経験が必要です。大学院で経営・管理にかかる科目を専攻していれば、その期間も含まれます。
経営管理ビザは取るのが簡単?
当事務所に相談に訪れる方の中には「経営管理ビザは就労ビザより取るのが簡単だ」と思っていらっしゃる方がいます。
確かに、経営管理ビザは就労ビザとは違って、学歴や職歴についての要件がないため、大卒の学歴がない外国人の方でも取得できる可能性のある在留資格だと言えます。
しかし、その分だけ要件が厳しく、必要とされる書類も多いため、決して取るのが簡単というわけではありません。
実際に出資をして事務所を借りて会社を設立してから申請を行う必要があるため、ビザが取れなかった場合のリスクも高いと言えます。
経営管理ビザの申請を考えている方は、行政書士などの専門家に相談するようにしましょう。