日本人と結婚して配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)を取得した外国人が離婚した場合、配偶者ビザを持ったままで日本に滞在し続けることはできません。離婚してしまうと配偶者ビザの要件に該当しなくなってしまうからです。
そのまま日本で暮らすためには、別のビザへの変更をしなくてはいけません。変更ができなければ、日本を離れて母国に帰るしかないことになります。
離婚した外国人がビザを変更する場合、真っ先に考えられるのが「定住者ビザ」への変更です。定住者ビザには就労制限がないため、これを取得できれば、日本で仕事をして収入を得ることもできます。
定住者ビザを取るためには、以下の要件を満たさなければいけません。
《要件1》3年以上の婚姻期間があった
離婚するまでの間に、正常な結婚生活が3年以上続いていたことが求められます。同居して生活をするのが原則ですが、お互いの暮らしを支え合うような相互扶助の関係が認められれば、別居期間があっても構いません。
ただし、結婚相手との間に子供(日本人の実子)がいて、その子供の面倒をみる必要がある場合には、婚姻期間が3年未満でも定住者ビザが認められることがあります。
《要件2》収入が安定している
その後も日本に滞在し続けられるだけの安定した収入があることが必要です。具体的には月20万円程度の収入があれば大丈夫です。離婚した時点で仕事をしていない専業主婦(専業主夫)である場合には、収入を得るための仕事を見つけることが大切です。定住者ビザは職種の制限がないため、どんな仕事でも構いません。コンビニのレジ打ちや工場の流れ作業などの単純労働でも問題ありません。
《要件3》税金・年金等の公的義務を履行している
交通違反などの犯罪や、税金・年金の滞納・未払いがあると、公的義務を履行していないと見なされて不利になることがあります。
また、離婚した場合には、14日以内に入管(出入国在留管理庁)への届出が必要です。この届出を忘れていると、届出義務違反としてビザ申請で不利になることがあるため、きちんと済ませておくようにしましょう。
公的義務とは、法律違反の有無や納税状況を指します。税金の滞納や交通違反などが過去にあれば、在留状況が不良だと評価され、離婚定住ビザの申請においても不利になります。
なお現行の法律上、離婚した場合は14日以内に入国管理局への届出が必要になります。2週間を経過してしまうと届出義務違反に該当するため、忘れている方はなるべく速やかに届出を済ませておきましょう。
上記の要件に該当しない場合には、定住者ビザへの変更ができないため、ほかのビザへの変更を検討することになります。大きく分けて、以下のような場合が考えられます。
仕事を見つけて就職をする
大卒の学歴があり、在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務を行うために就職した場合には、就労ビザへの変更申請をすることになります。
日本人と再婚する
日本人と再婚した場合には、配偶者ビザ(在留資格「日本人の配偶者等」)の更新申請をすることになります。
永住者と再婚する
永住者と再婚した場合には、永住者の配偶者ビザ(在留資格「永住者の配偶者等」)への変更申請をすることになります。
就労ビザを持つ外国人と再婚する
就労ビザを持つ外国人と再婚した場合には、家族滞在ビザへの変更申請をすることになります。家族滞在ビザでは就労は認められていないため、アルバイトなどで働くときには、資格外活動許可を得る必要があります。
大学や専門学校に入る
大学や専門学校に入学した場合には、留学ビザへの変更申請をすることになります。留学ビザでは就労は認められていないため、アルバイトなどで働くときには、資格外活動許可を得る必要があります。
会社を設立する
会社を設立して経営者になった場合には、経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)への変更申請をすることになります。ただし、資本金を用意できるのか、新たにビジネスを立ち上げることができるのか、といった問題があるため、簡単にできることではありません。
早急な対応が欠かせない
配偶者ビザの在留期限が残っていたとしても、離婚から6カ月経ってしまうと、在留資格の取消しの対象となります。日本に残ることを希望する場合には、6カ月が経過する前に別のビザへの変更手続きを進めておくようにしましょう。