企業が日本にいる外国人を雇用したいと考えたときに、その人がすでに前の仕事のための就労ビザ(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)を持っていることがあります。
このような場合に、企業側が「就労ビザを持っているのだからそのまま雇っても問題ないだろう」と考えてしまうことがあるのですが、それは間違いです。
安易にそのような考え方で外国人を雇用すると、あとあと問題になることもあります。就労ビザを持っている外国人を雇うときに注意すべき点について説明します。
就労ビザを持っていても雇えるとは限らない
そもそも、外国人が持っている就労ビザは、前の仕事をするために交付されているものです。新しい会社で別の仕事をするときには、その就労ビザをそのまま使えるとは限りません。
就労ビザを持っている外国人を雇うときには、その人が前の会社でどういう仕事をするために就労ビザを取ったのかを確認するようにしましょう。
そして、これからその外国人が担当する予定の仕事と、前の会社で担当していた仕事が、同じであるかどうかを確認してください。
前職と同じ仕事であれば就労は可能
例えば、前の会社でエンジニアをやっていた外国人が、新しい会社で同じくエンジニアの仕事をするとします。この場合、もともと持っていた就労ビザで引き続き働くことができます。
ただし、在留カードに記載されている在留期限がいつであるかを必ず確認してください。在留期限まで3カ月以内である場合には、入管で就労ビザの更新を行うべきです。
就労ビザの更新は正式には「在留期間更新許可申請」と呼ばれています。新しい会社で働くという形でビザ更新をすれば、そのまま働くことができます。
在留期限まで3カ月以上6カ月未満ある場合には、そのまま働き続けて、3カ月以内になった時点で就労ビザの更新をしましょう。
在留期限まで6カ月以上なら就労資格証明書を取得する
一方、在留期限まで6カ月以上ある場合には、入管で「就労資格証明書」の交付申請をするのがおすすめです。就労資格証明書とは、今の在留資格で新しい会社で引き続き働くことができることを証明するための書類です。
これを取得していれば、そのままの就労ビザで働くことができる上に、次の就労ビザ更新が簡単にできるようになります。
職種が変わる場合は就労ビザを更新する
次に、前の会社の仕事と新しい会社の仕事が異なる場合について説明します。例えば、前の会社でエンジニアをやっていた外国人が、新しい会社で通訳の仕事をするようなケースです。
この場合には、同じ就労ビザであっても職務内容が異なるため、就労ビザの更新が必要になります。新しい会社の新しい職種として、入管で就労ビザの更新手続きをしましょう。更新が認められれば、新しい会社で働くことができるようになります。
外国人雇用には注意が必要
ここまでに説明した通り、就労ビザを持っている外国人を雇うときには、注意すべき点がいくつかあります。在留資格に関することは、外国人本人もよく理解していない場合があるため、企業側も思わぬところでミスをしてしまうことがあります。
就労ビザについてわからないことや不安に思うことがあれば、行政書士などの専門家に相談するようにしましょう。